チリモンの学習プログラムとしての有用性

チリモンは様々なことを学習できる教材であるが、チリメンジャコの中からチリモンを選び出すチリモンプログラムは、その活動の楽しさや汎用性においても、非常に優れた教育プログラムであるといえる。その有用性のため、様々な場面で取り組みやすく、ここ数年でもイベント実施回数は大幅に増加している。このようなすぐれたプログラムをさらに発展させ、さらに多くの子どもたちに体験してもらうことが当WEB図鑑の使命である。以下に、チリモンプログラムの優れている点を列挙する。


  • 一年中いつでも実施できる。

  • チリモンは季節によって内容が異なり、全国から様々なものを取り寄せることもできるため、何度も実施しても飽きが来ない。

  • 通常は60分から120分のプログラムとして実施することが多いが、10分で終了するような簡単なプログラムから、1日をかけるようなプログラムまで、様々にアレンジして実施することができる。

  • 食育や生活科、環境学習、地域学習など、いろいろな活動の一部としてチリモンプログラムを取り入れることがしやすい。

  • 幼児から大人まで、楽しむことができる。

  • 初心者から生物の専門家まで、それぞれの楽しみ方ができる。

  • 場所を選ばず実施できる。教室だけではなく、屋外のテントなどでも実施できる。

  • 海に関するプログラムは冬季には実施しにくいものが多いが、チリモンは季節を選ばず実施できる。

  • 海に関するプログラムは雨天時には実施しにくいものが多いが、チリモンが天候に拘らず実施できる。

  • 宝探しのように探す楽しみがある。チリモンには平凡な種類からレアな種類まで様々なので、よりレアなものを探そうという欲求につながる。

  • 新しいものを見つける喜びがある。何度体験しても、また新しいものを見つけることができるため、いつまでも何度でも楽しめる。

  • 集める楽しみがある。チリモンは1回で30種類から50種類を見つけることができ、毎回見つかるものが変わるので、コレクション性が高く、継続的に楽しめる。

  • チリモンは乾燥標本であり、保存性が高く、見つけたものを標本として持ち帰ることができる。

  • 通常はチリモンコレクションカードというカードを作るプログラムとして実施するが、ワークシートを工夫したり、実物図鑑作りをするなど、様々なパターンの成果物を設定することができる。

  • グループでもできるし、1人でもできる。100人規模の団体であってもプログラムとして実施することができる。

  • チリメンジャコというとても身近な食品を利用しているため、非常に親しみやすい。

  • 今では加工技術が発達していて通常のチリメンジャコにはあまりチリモンが混ざっていないことも多いが、昔(今の40代以上の大人が子どもの頃)はチリモンが混ざっているのが普通だった。おとなにとって懐かしさを感じさせるプログラムである。

  • おとなも子どもも楽しめ、食事にかかわるテーマであるため、家族のコミュニケーションが図れる。食卓でも話題にしやすい。

  • チリモン材料は通販で安価に購入でき、ピンセットさえあれば実施可能なため、誰にでも手軽に実施しやすい。

  • チリモン材料は保存性が高いため、冷凍しておけば何度でも同じ材料を使いまわすこともでき、何度も実施することができる。

  • 上記のような理由からとても人気が高く、イベント時などに人が集まりやすい。

  • 学校の授業、博物館や水族館の行事、地域の子ども会などのイベント、自然保護団体の行事など、様々な場面で実施できる。

生活・文化・環境に関する教材としての有用性


  • 水産業:チリモンは、チリメンジャコという水産加工物に含まれているため、チリモンに親しむことは水産業に親しむことにつながる。チリモンは漁師の仕事がなければ手に入らないものであり、漁業について、漁法について、水産加工について、チリモンを通じて興味を持つことができ、子どもたちが水産に関わる仕事に思いを巡らせることができる。

  • 里海:チリモンが混獲されるイワシシラス漁は、どこの海でもできるものではなく、大阪湾、瀬戸内海など、それに適した海域に限られた漁である。チリモンを通じて地域によって漁業の特色が異なることを理解することができる。また、地元の海やそこで行われている漁業に関心を持ち、地元の産業に親しむきっかけともなる。

  • 食育:チリモンの生物学的側面を知るにつれ、チリメンジャコという食品が、生きた魚であったということを実感できる。チリモンは、すべての食品は何らかの生物に由来するものであるという食育の基本的な考え方を学ぶのに適当な教材であり、子どもたちが自分の食べているものについて考えるきっかけになる。

  • 食文化:チリメンジャコは日本の伝統的な食文化であり、日本人の重要な栄養源である。チリモンは、そのような食品についての理解を深めることにつながり、漁業国である日本について学ぶことができる。

  • 自分とのつながり:子どもたちは、自分が食べているチリメンジャコが、どこでどのようにして漁獲され、どのように加工され、流通し、食卓に届くのかを普通は知らない。チリモンによって自分自身の生活と、チリメンジャコのつながりを理解することができる。自分と生き物がつながっていることを理解するのは、環境教育においても非常に重要である。大阪には、大阪の海に魚がいることを知らない子どもが多いが、チリモンプログラムによって大阪の海の豊かさが認識されるようになり、また大阪湾の自然環境に興味を持つようになる。


  • 環境学習:チリメンジャコがすむ大阪湾は、大阪の子どもたちの身のまわりの川が流れ込んでいる。チリモンの学習によって、大阪湾やそこにすむ生き物を大切に思う気持ちがめばえ、地元の川を汚さない、ゴミを捨てないような行動につながる。チリモンは環境学習の教材としても活用することができる。

生物学に関する教材としてのチリモンの有用性


  • 生物多様性:100gほどのチリメンジャコの中に、通常30~50種もの多様な生物(チリモン)が含まれている。それらを観察することにより、世の中(海)にはこんなにいろいろな生き物がいるのだということを実感できる。

  • 海の生態系:海には、一般的な魚たちのような目に見える生物以外に、目に見えないほど小さなプランクトンがたくさんいる。チリモンは、そのほとんどが1cm以下の小さな動物プランクトンで、それらが海洋生態系の中で占める生態的地位は非常に重要である。海洋生態系を理解するためには動物プランクトンについて理解する必要がある。チリモンは、海洋生態系を理解するための材料としても適している。

  • 食物連鎖:チリモンには、イワシの稚魚をエサとしているタチウオなどの魚食性の魚類の稚魚も多数含まれている。他にもチリモン同士で食う・食われるの関係が見られる。さらに、シラスや、シラスを食べる魚を食べる人間は海の食物連鎖の頂点にあるともいえる。チリモンは、そういった食物連鎖による生き物同士のつながりを理解するのに適した教材である。

  • 季節変動:チリモンは、同じ地域で漁獲されたものであっても、季節によってそこに含まれている種類が大きく異なる。これは種によって、稚魚・幼生の成長の季節が異なり、シラスと一緒に漁獲されるサイズや生活スタイルとなる時期が異なるからである。チリモンから、生物の季節的な変動、生活史の変化についても学ぶことができる。

  • 地域による変化:チリモンは、同じ季節であっても、漁獲された海域によって、それに含まれている種類が大きく異なる。日本列島は南北に長いため、全国各地でのチリモンを調べることによって、地域による海洋生態系の構成生物種の違いを理解することができる。また、外海と内湾でも、チリモンの構成生物種は異なる。生物種の分布域についても、チリモンを通して学ぶことができる。

  • 個体数の変動:同じ地域でとれるチリモンでも、その年ごとにある種の生物が増えたり減ったりする。海域の環境変化やエルニーニョ現象など、様々な要因が考えられるが、そのような個体数変動のメカニズムに興味を持ち、学ぶことができる。

  • プランクトン:チリモンのほとんどは、自ら泳ぐことのできない浮遊生物(プランクトン)である。プランクトンは海洋生態系において重要な存在であり、プランクトンの存在なしには海洋生態系は成り立たない。チリモンによって、プランクトンの生態や形態の特徴について学ぶことができる。

  • 海流:チリモンには、海流に乗って流されてくる者もいる。南方の島々から、黒潮に乗ってやってくるような生物は、大阪湾にたどり着いても、水温低下のために冬を越すことができない。このような生態を死滅回遊という。チリモンには、海流に乗って流れてきた様々な種が含まれているため、生物の分布、生物地理について学ぶのにも適している。

  • 形態学:チリモンは、乾燥しているため、細部が観察しやすい場合が多い。ヒレやウロコ、歯や棘など、いろいろな部分の形は、それぞれ意味があってそうなっているが、チリモンを手に取ってじっくり観察することで、生物の形態をじっくり観察し、学ぶことができる。

  • 発生学:たとえばアナゴの幼生は、レプトケファルス幼生という時期があり、柳の葉のような薄っぺらい形でひらひらと波打つように泳ぐが、成長につれて普通のアナゴの形に変態する。またカニやエビの仲間は、卵からゾエア幼生として孵化し、メガロパ幼生を経て成体へと成長していく。チリモンには、こういった様々な段階の幼生が含まれている。チリモンの観察によって、魚類や甲殻類の発生についても興味を持ち、学ぶことができる。

  • 分類学:チリモンには、魚類、甲殻類、軟体動物などが含まれる。魚類チリモンには、スズキ目、フグ目などの大分類、アジ科、ヨウジウオ科などの中分類があり、また甲殻類チリモンにも、エビ、カニ、シャコ、ヤドカリ、オキアミ、ウオノコバン、ウミノミ、ワレカラなど多様な分類群の生物が含まれている。これらのチリモンを観察することを通じて、生物の分類について学ぶことができる。

  • いろいろな生き物:タツノオトシゴは、普段目にすることがほとんどない魚であるが、チリモンでは時々見つけることができ、子どもたちには非常に人気がある。またチリメンジャコには、アジ、タイ、サバ、フグ、カニ、エビ、タコ、イカなど、食卓にものぼる魚介類の稚魚や幼生も含まれている。そのような珍しい生き物や身近な生きものが大阪湾にもすんでいるということを知ることは、大阪湾やそこにすむ魚に興味を持つことにつながる。

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